メラミン化粧板とは

メラミン化粧板とは

メラミン化粧板とは何でしょうか。身近に感じにくい言葉かもしれませんが、実はとても多くの家具に使われている建材です。主にレストランやオフィスのテーブル天板から、近年では内装建材まで幅広く採用されております。そんなメラミン化粧板の種類や特徴を詳しくご案内致します。

目次

メラミン化粧板とは

メラミン化粧板の構造断面図

メラミン化粧板は、紙と樹脂でできたプラスチック板です。使用されるメラミン樹脂とフェノール樹脂は熱硬化性樹脂と呼ばれ、通常は液体ですが、熱を加えると硬化する性質を持ちます。これらの樹脂を含侵させた(染み込ませる事)紙を何層か重ね、高温、高圧でプレスすると1mm厚程のメラミン化粧板になります。

各層の役割

最上層部は、特殊な紙にメラミン樹脂が含侵されています。プレスすると無色透明な硬い保護層になります。2層目は、色や柄を印刷した紙にメラミン樹脂を含侵させたもので、色彩や木目などを表現します。3層目以降は、クラフト紙にフェノール樹脂が含侵されています。コア層と呼ばれる部分で、強度と寸法保持の役目を果たします。

メラミン化粧板の誕生

メラミン化粧板が発明される前は、フェノール樹脂の化粧板が使用されていました。フェノール樹脂は黄色味を帯びているため、当時の化粧板はキャラメルブラウン色しかありませんでした。

1936年、ウィリアム・タルボット氏がメラミン樹脂を発明。そして1938年、アメリカformica社のダニエル・オコナー氏がメラミン化粧板の開発に成功し、色鮮やかな表現を施された化粧板が可能になりました。

メラミン化粧板は第二次世界大戦が終結した1940年代後半から、アメリカで瞬く間に広がり、今日では、世界中のテーブル天板やカウンタートップ、キャビネットなどに使用されています。

日本のメラミン化粧板

日本では戦後、住友ベークライト株式会社がメラミン化粧板の工業化を成功させました。当時、メラミン樹脂は文献に乏しく、顔料の種類が少ないなど、非常に困難な開発であったそうです。1951年ごろに販売されたデコラ(Decola)は、その後、メラミン化粧板の代名詞とも言われました。

今日では、アイカ工業株式会社やイビケン株式会社、日本デコラックス株式会社など、様々な会社からメラミン化粧板が販売されています。

メラミン化粧板のメリット

硬質なため傷が付きにくく、熱や水にも強い、大変丈夫であるという特徴を持ちます。汚れは付きにくく、拭き取りが容易な点も大きなメリット。大量生産されるため、品質は均一で安価です。

また、メラミン化粧板を使用した天板は、天然木や大理石の天板より軽量です。メラミン化粧板は薄いため、厚みのある芯材に化粧板を貼り付けて天板を作ります。その芯材に軽量な素材を使えるためです。

表面は、多種多様なカラーや本物と見間違える程の木目調など、バリエーション豊かな表現があります。保護層は、塗装ではないので剝がれにくいという利点も。また、光沢のあるタイプは美しく艶やかです。抗ウイルスや指紋レスなど、機能性化粧板もあります。

メラミン化粧板のデメリット

メラミン化粧板と天然の木や大理石の天板を比べると、自然な素材感では劣ります。ですが、昨今では技術も進み、ぱっと見た分には違いが分からないこともあります。また、メラミン化粧板は木の天板などに比べ、環境への負荷が大きいと言われることがあります。

しかし、メラミン化粧板は紙と樹脂で作られており、その組成の50~70%は植物由来です。そのため、生物由来の資源(バイオマス)を利用しているとして、バイオマスマークを取得した製品は数多くあり、石油系プラスチックのみの製品と比べ、環境への負荷が少ない製品と言えます。

機能性メラミン化粧板

指紋レス

無地メラミン天板(共巻きエッジ)マットブラック BL-MT-MC・オーダーテーブル

人が使う以上、化粧板を手で触ると、指紋が残ってしまうことがあります。通常の化粧板では都度、指紋跡を拭き取る必要がありますが、指紋レス化粧板は、手が触れても指紋跡が目立ちにくい仕様です。

スクラッチレス

大理石柄天板(共巻きエッジ)ブラウンマーブル BR-MAGL-MC・オーダーテーブル

光沢のあるメラミン化粧板の中には、スクラッチレスの機能を備えたタイプも存在します。従来品と比較してスチールウールのような硬い素材でこすられても、擦り傷が付きにくい仕様です。

抗ウィルス

木目メラミン天板(共巻きエッジ)ライトナチュラル LN-WDE-MC 抗ウイルス・オーダーテーブル

時間経過と共に、化粧板上の特定のウィルスを99%以上減少させる効果を持つ化粧板です。アイカ工業株式会社の「アイカウイルテクト」は、新型コロナウイルスにも同様の効果があることが確認されています。

メラミン化粧板の主な種類

木目調

木目メラミン天板(共巻きエッジ)ライトブラウン LB-WD-MC・オーダーテーブル

様々な樹種を模した柄があります。限りなく木の表情に近づけられており、木目のエンボスも再現された物も多く存在します。マットな質感に仕上げられた物、木目柄でありながら鏡面仕上げの物もあります。

無地

無地メラミン天板(共巻きエッジ)ホワイト WH-MT-MC・オーダーテーブル

表面の質感はマットな物と光沢のある物があります。微細なエンボス加工が施されたタイプは、傷などが付いても跡が目立ちにくく、オフィスの天板などによく使用されています。

その他

大理石柄天板(共巻きエッジ)グレーマーブル GR-MAGL-MC・オーダーテーブル

ラメが入れ込まれた物、レザーを模した物など、様々な柄のメラミン化粧板が存在します。再現度の高い大理石模様の化粧板などは、大理石の豪華な印象をそのままに、空間をドラマチックに演出します。

メラミン化粧板の呼び名

日本ではメラミン化粧板が一般的ですが、海外では高圧ラミネート(HPL)と呼ばれています。輸入品がラミネート天板と表現される場合があります。またメーカー名やブランド名が定着し、アメリカではFormaica(フォーマイカ)、カナダではArborite(アーボライト)、日本ではデコラと呼ばれることもあります。

メラミン以外の化粧板

天然の木を薄く削りだした「突板」を使用した化粧板も存在します。突板を別の厚みのある板(合板)の表面に圧着して作られます。表面は自然の木そのものが使用されているため、一つ一つで表情が異なります。