突板とは
突板は「つきいた」と読みます。突板とは、天然木を薄くスライスした板のことです。突板を厚みのある合板や中密度繊維板(MDF)などの表面に圧着すると無垢板のように仕上がります。これにより希少価値の高い銘木を効率良く使え、反りなどにも強く、更に製造コストを抑えることが出来ます。
目次
突板とはどんな板?
突板とは、希少価値の高い銘木などの木材から薄く削りだした板のことです。ノミという道具で木を突き、削りだしたことに由来して突板と呼ばれています。突板を木材等に貼りつけて使用すると、銘木のように仕上げる事ができます。合板やMDFの表面に切りそろえた突板を並べて圧着した製品を天然木化粧合板と呼び、建築物の内装仕上げ材や、テーブル等の家具に使用します。
銘木の希少性
突板の元となる銘木は、古来より富の象徴、人々の憧れでした。その価値を高めたのは、銘木の希少性です。例えばウォールナットという樹種で奥行80cmの一枚板を取るには100年以上かかると言われています。また、現在では伐採が禁止されている屋久杉は、樹齢500年で直径がたった50cmしかない個体も発見されています。
銘木が十分成長するには、人間の寿命を遥かに超える長い期間が必要なため、古くから自生している自然木を伐採する以外に、大径の銘木を入手する方法は有りません。限りある資源として、銘木の価値は高まる一方です。この貴重な銘木を有効活用するために生まれた技法が突板です。
突板のメリット
小径の銘木から、大きな天然木化粧合板を生産する事ができます。例えば無垢の一枚板でテーブルを製作する場合、テーブルの寸法より大きな銘木が必要ですが、狭い板巾の突板を並べて使用すれば、大きなテーブルを製作する事が可能です。また、厚みが薄く、無垢板と同じ樹量から大量に生産できるため、製造コストを大幅に抑える事が可能です。
突板は、無垢板に比べ、均質な製品を大量に生産する事ができます。天然木製品は同じ樹種でも、気候条件等によって色違い等の個体差が出やすい製品ですが、突板は一つの材木から大量生産が可能なため、商業施設などの様に均質な製品を多く必要とする場合、突板は有効な選択肢となります。
天然木化粧合板は、反りに強いメリットがあります。樹木は中心部と外周部の水分含有量に差があるため、無垢材は乾燥時に反る事がありますが、突板を圧着する合板やMDFは反りに強いため、天然木化粧合板は、反りに強く安定した資材となります。
突板のデメリット
突板は非常に薄いため、傷が付くと基材が見えてしまうデメリットがあります。この欠点を補う為に、突板を商業施設のテーブル等に使用する際は、ウレタン塗装で仕上げます。ウレタン塗装は表面に強固な塗膜を作り、水や熱に強く特別なメンテナンスが不要な優れた塗装方法です。その反面、ウレタン樹脂の塗膜で覆われるため、樹木のぬくもりや香りが感じられないデメリットがあります。
柾目と板目
木目には、柾目と板目があります。樹木は中心から同心円状に年輪が刻まれますが、年輪に対して垂直に鋸を入れると柾目となり、並行に鋸を入れると板目となります。
柾目と板目は、厚みのある材木として使用する場合、反りや調湿性等で差が出ますが、突板として使用する場合、機能的には殆ど変わらないため、選定基準は模様の好みとなります。ちなみに一般的には、欧米では板目の人気が高く、日本では柾目が珍重される傾向があります。
柾目(まさめ)
木の中心部に向かって、垂直方向に削り出した木目を柾目(まさめ)と言います。年輪は直線のしま模様。反りが少なく調湿効果に優れています。1本の木材から取れる量が少ないため、高価な場合があります。
板目(いため)
木の中心部に対して、平行に削り出した木目を板目(いため)と言います。年輪は、山形や波形、または渦巻きの模様となって現れます。1本の木材から沢山取ることができるため、安価な場合があります。
突板に使用される主な樹種
突板以外の化粧板
突板は薄いとは言え自然の木、銘木そのものです。これに対し、メラミン化粧板など樹脂製の化粧板も存在します。普段目にする木目模様の家具が、実は人工であることは少なくありません。メラミン化粧板は高い技術により色合いや表面のエンボスがリアルに再現されており、天然の木と区別がつかない時もあります。また、木に比べ耐久性が大変高く、抗菌仕様など機能もあり、様々な商業施設で採用されています。