合成皮革とは
合成皮革(合皮)と聞いて、動物などの天然皮革に劣るレザーといった印象を持ちますが、近年では技術革新も進み、天然皮革と見分けがつかないほど高い質感を持つ合成皮革が多数あります。お手入れがしやすく様々な機能や特性を持ち、多彩な表現が可能な合成皮革について詳しくご案内いたします。
目次
合成皮革とは
合成皮革とは何でしょう。大辞泉によると、合成皮革とは合成樹脂を使った皮革代替品とされています。(※1)皮革という言葉は聞きなれないと思いますが、皮(動物の皮膚をはぎ取った物)と革(皮を鞣した物)を状態によって使い分け、2つを総称して皮革と言います。ちなみに鞣しとは、剥いだ皮の防腐処理と柔らかさを保つ加工技術の事を指します。(※2)
合成皮革の表面、革のように見える部分は、合成樹脂、プラスチックで作られています。銀面と呼ばれる革の模様だけでなくスエード加工も再現可能です。昨今では技術も進み、見た目には天然皮革と違いが分からない程クオリティの高い物も。使われる樹脂は幾つか種類があり、それぞれ特徴があります。
また、ポリウレタン樹脂(PU)で作られた皮革を指して、合成皮革という言葉が使われる時があります。PUレザーの発売時、塩ビレザーやビニルレザーと呼ばれていたPVCレザーと区別して、PUレザーは合成皮革と呼ばれ、今でもその慣習があります。(※3)本記事では合成皮革は合成樹脂による皮革全般とし、PUレザーは合成皮革の一種として表記しています。
※1参考文献:松村明,「デジタル大辞泉」,小学館,2020年8月※2参考文献:和田敬三,下中直人「世界大百科全書 第6巻」,平凡社,2007年,239P※3参考文献:菅野英二郎,下中直人「世界大百科事典 第9巻」,平凡社,2007年,474P海外での合成皮革の呼び名
合成皮革を英語圏の方が言い表す際、様々な言葉があります。synthetic leather(合成)、mimic leather(模倣)、fake leather(偽)、artificial leather(人工)などあり、それらは動物の革の代替品という同じ意味で使われています。また、新しく造語された合成皮革を意味する言葉もあります。
pleatherは、プラスチックとレザーをかけ合わせて作られました。また、レザーと模倣を意味するetteをかけ合わせたleatheretteという言葉もあります。fake leatherとは別に、フランス語のフェイクを元にしたfaux leatherという言葉も使われます。faux leatherは、日本人が新しく素敵な物を外来語で表現する時のように、良いイメージの言葉のようです。
合成皮革の種類
セルロイド製レザー
セルロイドは人類が手にした初めての樹脂です。第二次世界大戦前からセルロイドを使用した物が、疑革、単にレザーと呼ばれ販売されていました。セルロイドは映画館のフィルムにも使用されていましたが可燃性が高く、映画館の火災の原因にもなりました。PVCレザーの普及と共に市場から姿を消しました。
PVCレザー(塩ビレザー、ビニルレザー)
PVCレザーのPVCはpolyvinyl chlorideの略で、ポリ塩化ビニル樹脂を指します。PVCレザーは水・酸・アルカリ・薬品に強く、難燃で電気を通さない、とても優れた特性を持ちます。利点が多いだけでなく非常に安価に製造できる為、現在、業務用家具に使用されている革の中でPVCレザーは最も多く使われています。
日本での1948年の販売以来、PVCレザーは改良が重ねられました。色柄の表現にも優れており、天然の革では表現し得ない柄がプリントされるなど、様々な色鮮やかな製品が存在します。以前は油やアルコールに弱い、硬化するという弱点がありましたが、昨今では技術も進み、アルコールや油に強い製品もあります。
PUレザー(ポリウレタンレザー)
合成皮革とはPUレザーの事を指すと記述された文献もありますが、本記事では合成皮革=合成樹脂による皮革全般としているため、PUレザーは合成皮革の一種として表記しています。
PUレザーのPUはpolyurethaneの略でポリウレタン樹脂を指します。ポリウレタン樹脂は元々ゴムの代替品として開発されました。PUレザーは柔らかくしなやかで、天然皮革やPVCレザーと比べて軽く、引っ張り・摩擦・衝撃・油や薬品に強い特性を持ちます。日本では1960年代より販売が始まり日々進化しています。
上記の特性を利用して特に柔らかく仕上げられた物に、ソフトレザーという製品があります。伸びに強い為、複雑な形のソファなどに張りやすい利点も。また、樹脂で作られた皮革は天然皮革に比べ通気性に劣りますが、昨今は技術が進み、通気性を持たせ、べたつかないさらりとした触感のPUレザーもあります。
人工皮革
人工皮革と合成皮革は全く別の製品と記述された文献がありますが、本記事では合成皮革=合成樹脂による皮革全般としているため、人工皮革も合成皮革の一種として表記しています。
人工皮革はその構造が最大の特徴です。動物の皮膚はコラーゲンという極細線維を複雑に絡み合わせた物を、柔軟性のあるたんぱく質や水分などで結合させた構造をしています。人工皮革はコラーゲンをマイクロファイバーという髪の毛のおよそ100分の1の極細繊維で再現し、ポリウレタン樹脂により結合させており、天然皮革を内部構造から人工的に再現しています。
スエードは天然皮革の裏面をサンドペーパーでやすり掛けし、起毛させて作ります。この作業をバフィングと言います。人工皮革は天然皮革と同じ構造なのでバフィングすると、起毛しスエード調に仕上がります。人工皮革スエードの中には、素晴らしく滑らかな触り心地の物があります。また水や衝撃に強く、軽いなど、天然皮革よりも優れた特性を多数持ちます。
日本では1964年より人工皮革の販売が始まりましたが、1970年に東レ株式会社が開発したスエード調人工皮革「エクセーヌ」は、海外メディアから「繊維製品のロールスロイス」と評されました。
機能性合成皮革
次亜塩素酸ナトリウム対応
アルコール消毒が効かないウィルスには、次亜塩素酸ナトリウムが有効であるとされています。医療施設などで次亜塩素酸ナトリウムのふき取りを高い頻度で行っても、色落ちや劣化しにくい仕様です。
耐アルコール
通常の合成皮革は、長時間アルコールやエタノールに触れると硬化し、ひび割れや裂けができます。耐アルコール仕様の合成皮革は、アルコールでふき取りをしても硬くなりにくい製品です。
抗菌
表面に付着した菌の繁殖を抑えます。銀イオンが担体となる抗菌剤を使用した物もあります。銀系抗菌剤は無機酸化物のため、熱、水、薬品、光に強く、抗菌効果が長く持続し、毒性が低いという特徴を持ちます。
難燃・防炎
通常の合成皮革は、熱に弱いという性質を持ちます。難燃・防炎仕様の合成皮革は、小さな火原があたっても着火しづらく、また着火しても燃え広がりにくくなっています。その耐性の基準は製品によって異なり、日本自動車車体工業会の難燃基準、船舶内装難燃基準、日本防炎協会の防炎性能基準などがあります。
防汚
合成皮革は、天然皮革に比べて汚れが付きにくく落ちやすい利点がありますが、そのメリットをより強化した仕様です。飲食店など、人の出入りが多く汚れやすい環境での使用に適しています。
伸縮
天然皮革は伸縮機能を持ちませんが、合成皮革には伸縮が可能なタイプもあります。レザーの質感でありながら曲線を持つ家具などに張りやすく、これまでに無い新しい表現を可能にします。
合成皮革のメリット
天然皮革と比べると、お手入れが簡単です。天然皮革は、ひび割れなどを防ぐ為にオイルなどで定期的にメンテナンスをする必要があります。また、水や洗剤の使用をおすすめしていない物もあります。合成皮革はそこまでメンテナンスの必要がありません。きちんと乾燥させれば、水拭きや中性洗剤を使用する事ができ、製品によってはドライクリーニングも可能です。
また、天然皮革と比べると一般的に軽量で安価です。樹脂で作られているため、質感や色味は均質で、耐アルコール、難燃などの機能を持つタイプも多いです。昨今では技術も進み、見た目には本物の天然皮革と違いが分からない程、美しい質感を持つ物もあります。また、染色がしやすいため、天然皮革では難しい鮮やかな色彩や模様が施された物もあります。
合成皮革のデメリット
天然皮革は丁寧なお手入れを続ければ、長持ちし色味や艶感の経年変化を楽しめます。一方、合成皮革は製品によって年数の差はありますが徐々に劣化します。合成皮革は製品によって品質に大きな差があります。一般的に、業務用家具に使われる合成皮革は、耐久性に優れ数年で劣化する事は少ないと言えます。
ですが、安価な製品に使われる合成皮革は、数年で表面が割れるなど、すぐに劣化する事があります。使われる環境も劣化に大きく影響します。ずっと日光が当たる場所に置かれていると、質の良い合成皮革であっても退色します。また、湿度の高い場所に置かれたり、水に当たる機会が多いと早く劣化します。
合成皮革のお手入れ
柔らかい布でから拭きが基本です。水が付いたらすぐに拭き取りましょう。汚れが付いた場合、水拭きや中性洗剤を使って汚れを落とす事ができますが、最後に必ずから拭きをし、完全に湿気を取ります。湿度の高い所、直接日光があたる所、ストーブの近くなど高温になりやすい場所に置かないようにします。
湿気がこもるためビニール袋などを被せて保管せず、日陰の乾燥した場所に置きます。高温で樹脂が痛むので、アイロンをかけてはいけません。ドライクリーニングの可否は、洗濯表示を必ず守るようにします。
次世代皮革
近年、環境保全や動物福祉を考慮し、動物由来でも石油由来でもない新たな皮革の開発が進んでいます。パイナップルの葉、トウモロコシ、リンゴの皮やキノコなど、様々な天然資源から作られた皮革です。サステナブル(持続可能)な社会の為に解決すべきとされている問題の一つとして、食肉の問題があります。牛の飼育には大量の温室効果ガスが排出される為、食肉自体が疑問視されています。
この議論の延長線上に動物由来の皮革も存在します。そこで、代替品として新しい次世代の皮革が注目されるようになりました。中でも、キノコの菌糸体を培養し生産する皮革は培養レザーとも呼ばれ、画期的な製品と言えるでしょう。数日でできあがり、加工後は見た目も感触もまるで動物の革なのだそうです。
これらの新しい皮革が本当にサステナブルな製品になり得るかは、まだ様々な課題があります。また家具のように大きな張地を必要とする製品には、現在、積極的に使用されていません。ですが、将来的には合成皮革、天然皮革とは別の新しい素材の皮革が、普及しているかもしれません。
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